ORIZURU PROJECT

世界中から長崎県に届く千羽鶴が
「循環」をテーマとした新しい「アート」という翼となり
ふたたび祈りを乗せて羽ばたく─。

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about

ORIZURU PROJECT

まわる、めぐる、千羽鶴 希羽の薫  空にわたる 折鶴香

折鶴を折った経験のある人は多いだろう。子どもとともに、あるいは手慰み、あるいは必勝祈願として。ときには慰霊の標として、日本人は老若男女を問わず、折鶴を折り続けてきた。

郷里の長崎原爆資料館には、平和を祈る千羽鶴が世界中から届く。一羽一羽に折られた方々の祈りが込められているのだから、千羽の鶴には、千の祈りが込められている。だから私は、この千羽鶴を一所に安置しておくべきではない、と考えた。なぜなら、祈りは叶えられてこそ、その目的を達成できるのだから。もっと、この祈りを広げることができないだろうか。千羽鶴が世代や国境を越えて、もう一度、祈りを乗せて羽ばたくために。そのために必要な新しい翼とはなんなのか?

一つは「アート」という翼だ。アートは国境も文化も超える。「折鶴をアートにできるのだろうか?」
紙は、絵の具や墨の製法とともに大陸から日本に伝わり、古くは神事に用いられ「包む・折る・飾る」手法が生まれたという。折り紙のルーツも、護符や香を包む文化が発展したことを考えると、日本の美的感覚はミニマルアートやコンセプチュアルアートにも通じ、世界に通用する文化である。
もう一つの翼は「燃やす」という行為。私はこれまで「創造と破壊の間-HAZAMA-」をテーマに、主に紙を使って制作を続けてきた。その経緯の中で出会った表現方法が「燃やす」ことである。価値観や情報が多岐にわたる現代社会では「燃やす」ことが環境汚染や廃棄物処理を連想させる悪のイメージがあるが、古くから人々の暮らしにつきものであった「暖をとる」「食事を炊く」などの生活の営みの一つであることを、私は改めて「燃やす」ことの意味として考えたい。さらにモノを燃やすことで出る灰もまた古くから生活に必要な物質であった。例えば洗剤や肥料、そして工芸の分野では陶磁器、染色、墨、ガラスなど人々の生活を彩るさまざまなモノに利用されてきた。つまり「燃やす」ことは、豊かな「循環」を生み出すエネルギーなのだ。

「人は死して生まれ変わる。」

私は折鶴を燃やすことで灰となり、それが新たに姿を変えて循環するということを作品にしようと考えた。
この一連のことをテーマに、今回「ORIZURU #0000」を制作した。陶土と灰を混ぜて折鶴のシルエットを表現するというプロジェクトの原点となる作品である。また、実用性のあるものを作ることでより多くの人々にこのプロジェクトを広めたいと考え折鶴の灰を原料として使用した「お香」と「香立て」を併せて開発した。作品名は「ORIZURU #0001:折鶴香〜おりづるこう〜」である。
香立ても、同じく折鶴の灰を釉薬として使ったもので、波佐見焼きの新しい可能性として「折鶴焼き〜おりづるやき〜」と名付けた。この香立ては、シンプルではあるが様々な用途で自由に使える遊び心も取り入れた。

千羽鶴が一人一人の祈りを繋ぎ、やがて一つになるよう、「ORIZURU PROJECT」が折鶴に込められた祈りを、国、民族、宗教、政治の垣根を越えて、平和を願う人々の心が一つに繋がるように表現していきたい。

最後に、千羽鶴とその祈りに出会わせてくださったプロジェクトのメンバーをはじめ、千羽鶴をご提供いただいた長崎原爆資料館、ご協力いただいたすべての方々に深く感謝を申し上げます。

現代美術家  松尾栄太郎